前回までのあらすじ



 前回を読んで下さい(爆)




風雲水瀬城!!(後編)




小屋を出た先は、迷路になっていた。

『第四関門は、巨大迷路です』

突入した女の子達は、みな迷っていた。

所々に扉があったり、鏡があったりして、なかなか難しい迷路である。

「結構広いんだお〜」

「うぐぅ。ここさっきも通ったかも・・・」

「左手の法則」

女の子達は、それぞれの方法で出口を模索してゆく。



名雪は、完全に方向を失っていた。

「うにゅう?」

目の前にはT字路。

どちらに行けばいいのか迷う。

「名雪」

「あ、香里。追い疲れちゃったよ」

香里が名雪に追いついた。

「香里、迷路得意?私は苦手だから、もうどこが何やら・・・」

「私は結構、こういうのが得意よ」

そう言いながら、スタスタ歩いてゆく。

「わ、待って」

その後を名雪がついて行った。

その時、秋子さんのアナウンスが迷路に流れた。

『最終組が迷路に入ってから、5分が立ちましたので、これから怪人が突入します。怪人に捕まったら失格なので注意して下さい』

「怪人?」

「何だろ・・・」

バキッ

その時、遠くで何かを壊す音が聞こえた。

「何の音だろ・・・」

「なんか、段々こっちに近づいて来るような・・・」

バカッ

バキッ

ズベバキッ

「これって、もしかして、迷路の壁を壊している音じゃ・・・」

「香里、何か声が聞こえない?」

香里は耳を澄ましてみる。

みぃぃぃぃぃぃぃ!

バキィ

さぁぁぁぁぁぁぁ!!

ベキィ

かぁぁぁぁぁぁぁ!!!

バカン

ドンガラガッシャーン!!!

名雪と香里の目の前の壁が壊れた。

そして、そこには北川が立っていた。

「やっと見つけたぞ!美坂ぁ!」

「怪人って、もしかして北川君?」

「そうさ。秋子さんに雇われたんだ。それよりも美坂ぁぁぁぁ!!」

北川が香里に飛びついた。

それを香里がヒョイと避ける。

「寄らないで!」

「オレの愛は本物だぞ!」

「きゃぁぁぁ!」

逃げる香里。

追いかける北川。

香里が手近な扉を開けて、飛び込む。

北川がそれに続く。

だが、扉の外は、地面がなかった。

代わりに下に広がる池。

落とし穴のトラップだ。

どっぼ〜ん!!

香里と北川は、見事に池に落ちた。

「いやぁぁぁ!!」

じゃばじゃばじゃば

「かおり〜ん!」

じゃぶじゃぶじゃぶ

2人はそのままどこかへ泳いで行ってしまった。

ちなみに、迷路の方は、北川がそこら中の壁を蹴破ってしまったので、すでに迷路ではなくなっていた。



香里、脱落。

 「北川君、教えて。あなた、何の為に生まれてきたの・・・」





第五関門は1本橋だった。

人一人が渡れるぐらいしか幅がない。

一番に迷路を抜けた女の子の2人組みが、今、その橋を渡ろうとしていた。

「失礼ね!詩子って名前があるわよ!」

「茜です」

詩子と茜が橋のたもとへ行く。

「うわー、高い」

「詩子、私が先に行ってもいいですか?」

「え、いいけど・・・大丈夫、茜」

「たぶん・・・」

そう言うと、茜はスタスタと1本橋を渡り始めた。

平然と橋を渡って行く茜。

しかし、ちょうど橋の真中辺りに差し掛かったとき、突如横からドッチボールが飛んできた。

どげしっ

ボールが茜にヒットする。

吹っ飛ぶ茜。

そして、茜は橋の下へ落ちて行った。

「茜!」

詩子が橋の下を見渡す。

谷底には、全てを飲み込むような闇が広がっている。

茜の姿はどこにも見えなかった。

「茜!あなたの仇は私がとるわ!」

詩子は、決意を持って橋を渡り始めた。

慎重に橋を渡って行く。

そして、真中まで来た所で、横からドッチボールが飛んできた。

「わかっていれば、よけられるわ!」

詩子は体を反らして、ボールを避ける。

だが、安定感の悪い1本橋の上である。

たちまちバランスを崩して倒れた。

「!!」

必死に手を伸ばし橋をつかむ。

さかさまだが、なんとか橋にしがみつくことができた。

「あ、危なかった・・・」

詩子が、安堵のため息をついた時、後続が橋に辿り着いた。

「この橋を渡るんだお!!」

名雪が、すごい勢いで橋を渡ってくる。

だだだだだっ!!

「わ〜、揺れる!落ちる落ちる落ちる!」

必死に橋にしがみつく詩子。

名雪にもドッチボールが打ち込まれる。

だが、俊足の名雪は、ボールが飛んでくる前に橋を渡りきってしまった。

次に、舞がやってきた。

その後方には、美汐とあゆの姿も見える。

舞も名雪と同様に、橋の上を疾走してきた。

どどどどどっ

「きゃー、きゃー、きゃー!」

相変わらず橋にしがみついている詩子の叫び声。

橋の中腹で、舞にもボールが飛んでくる。

「魔物!?」

舞は、どこからか取り出した剣で、ボールを真っ二つにした。

そして、橋を渡りきる。

そこで、舞は足を止め振り返った。

橋にはまだ詩子がしがみついている。

「・・・まだ落ちてない・・・はやく、橋の上に登らなくちゃ・・・」

舞は、腕を振り上げた。

その手には剣が握られている。

ずばっ

剣が一閃する。

橋を繋いでいる紐が切断される。

次の瞬間、橋は奈落の底へと落ちて行った。

「私がねばったのは、何だったのぉぉぉぉぉぉ!!」

詩子の絶叫。

「『おね』のキャラに祐一は、わたさない・・・」



反対側では、美汐が立ちすくんでいた。

ここから向こうまで、25メートルはあるだろうか。

「これは、さすがに渡れませんね・・・」

そこへ、あゆがやってきた。

「今度は、ここを飛び越えるんだね」

「いえ、そうではなくて。さっきまでは、橋がかかっていたんですけど・・・」

「うーん。走り幅跳びじゃ、ちょっと無理そうだね」

「あゆさん、人の話を全く聞いてませんね」

「大丈夫。僕の背中には羽がある!!」

突然、あゆの背中に羽が生えた。

「♪あの大空へ翼を広げ、大○翼はボールが友達〜」

わけのわからない歌を歌いながら、空を飛んで行くあゆ。

その姿を見て、美汐は思った。

「私、あそこまで出鱈目なことはできない・・・」

別に、美汐だってできると思うのだが。



美汐、脱落

 「そんな酷なことはないでしょう」





第五関門を突破できたのは、名雪、舞、あゆの3人だけであった。

そしてついに、彼女達は水瀬城の中に突入した。

城の中は、奇妙な作りであった。

入るとすぐに壁があり、壁には何箇所か扉がある。

『ここが第六関門です。扉を破りながら、奥へと進んでください。その扉は紙製だから簡単に破れますよ』

「紙製の扉・・・」

名雪は、近くの扉を試しに手で押してみた。

ビリッ

扉は簡単に破れた。

そして、その向こう側には同じような部屋が続いていた。

その時、後ろから足音が聞こえてきた。

「わ、川澄先輩が追いついてきたよ!!」

慌てて、次の部屋へ飛び込む名雪。

舞もその後を追いかけてゆく。

びりっ

ばりっ

すばっ

お互い、扉を破りながら奥へと進んでゆく。

ばばっ

びりりっ

どげしっ!!!

「うにゅう!」

名雪が扉に跳ね返される。

「痛いよ〜」

顔を擦る。

名雪が体当たりした扉は木製だった。

『言い忘れましたが、扉にはもちろんダミーもありますよ』

名雪は気を取り直して、違う扉から次の部屋へ進んだ。

暫く進むと、部屋の真中で舞がひっくり返っていた。

「川澄先輩も、ダミーにひっかかったんだ」

舞が倒れているのとは違う場所の扉に体当たりをする名雪。

べげんっ

「うにょ!」

その扉もダミーであった。

「う〜、なら、こっちの扉!」

バカンッ

それもダミーであった。

「酷いよ〜」

「ここにある扉は全部ダミー」

いつの間にか復活した舞が名雪に告げた。

「え、じゃあどうやって先にすすむの?」

「なんとかして、扉を壊すしか・・・」

すばばっ

名雪と舞がいる部屋に、あゆが飛び込んできた。

「あ、名雪さん、舞さん。追いついたね」

そのまま、走り抜けて行くあゆ。

「お先に〜」

「あ、あゆちゃん。その扉は・・・」

名雪が声をかけるより前に、あゆが扉に体当たりをした。

スガバッバーン!!

粉々に吹っ飛ぶ扉。

「す、すごい・・・」

「商店街で祐一君に喰らわす為に鍛えたぼくのタックルなら、こんな扉の一枚や二枚」

バコーンッ!!

ベベケーンッ!!

あゆがどんどん扉をぶち破ってすすんでゆく。

「ちょっと適わないかも・・・」

「とりあえず、あゆちゃんが開けた所を通って行くんだぉ」



快調に飛ばすあゆあゆ。

そして、ついに『これが最後です』と書かれた扉にたどり着いた。

「いっちばーん!待っててね、祐一君!」

豪快に扉を吹っ飛ばすあゆ。

しかし、扉の向こうには床がなかった。

「へっ?」

真逆に落ちてゆくあゆ。

「うぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

後からそこに着いた、名雪と舞が穴の底を覗いた。

「あゆちゃんの犠牲は無駄にしないよ」

「けど、どうやって先に進む?」

「たぶん。この扉自体がダミーなんだお」

そうやって、部屋の中を見渡す名雪。

「ん?ここにスイッチがある。ぽっちとな」

ごうん

ごごごごごごごごご

部屋全体が動き出した。

「じょ、上昇している!?」

最後の部屋は、それ自体が巨大なエレベーターであったのだ。

そして、今、その巨大エレベーターは、名雪と舞を最終決戦の地へと導いていた。



あゆ、脱落

 「あはは、落ちちゃったね・・・」





エレベーターの到着した先。

そこは、広めの空間であった。

辺りは薄暗く、はっきりとは周りが見えない。

名雪と舞の目の前には、乗り物が用意されていた。

それは、一人乗り用で、ダンボールで作ったように異様にカクカクしていた。

そして、前面に、水鉄砲と小さな的が着いていた。

『よく、ここまでたどり着きました。いよいよここが最終関門です』

秋子さんの声が鳴り響く。

『まず、そのマシンに乗ってください』

名雪と舞がマシンに乗り込む。

『武器は、その前面の水鉄砲です。それで、私の操るマシンと戦います』

「え?水鉄砲でどうやって戦うの?」

『マシンの前面に、的がありますよね。その的が倒れたら負けです』

「だいたいわかった・・・」

『それでは、私もそろそろ姿を見せましょう』

いきなり、証明が灯った。

部屋の奥にスポットライトが集中する。

その中心に、名雪たちが乗っているのと同じ型のマシンに乗った秋子さんがいた。

名雪達のマシンと違っている点は、その色が赤いことぐらいであろう。

「私は、このマシンに慣れていますが、名雪達はまだ慣れてません。ですから、ハンデとして一分間は攻撃しないであげましょう」

秋子さんのマシンが起動した。

「それでは、ゲーム開始です!!」

「行くだお!!」

「これが最後・・・」

名雪と舞がマシンを発進させた。

ゴゴゴゴゴゴ

軽い振動を立てながらマシンが走る。

名雪は左に、舞は右に展開した。

名雪が運転をしながら、片手で水鉄砲を掴む。

「えい!!」

ずばばばばばっ

水鉄砲から勢い良く水がほとばしる。

だがそれは、後少しと言うところで届かない。

「以外に射程距離が短い!?」

舞は名雪の攻撃を見て、水鉄砲の間合いをつかんだ。

「それなら、ギリギリまで間合いを詰めて・・・」

舞が、秋子さんのマシンの死角から忍び寄る。

「ここ!」

舞が水鉄砲の引き金を引く。

「当たれぇぇぇ!!」

これなら絶対に避けられない。

舞がそう確信したとき、秋子さんのマシンがとんでもない速さで移動した。

「え!?」

そして、あっと言う間に舞のマシンの後ろにつける。

「速い!?」

「ってゆーか、速すぎ!!お母さん卑怯だお!!」

「何を言うのです、名雪。赤いマシンが通常のマシンの3倍の速さなのはお約束です」

秋子さんは舞のマシンの後ろにピッタリと張り付いて、舞にプレッシャーを与える。

舞はマシンを左右に振る。

しかし、秋子さんはその後ろにピッタリと張り付いて離れなかった。

だが、舞は諦めなかった。

舞は、考える。

常に後ろにいるということは、振り返れば、すぐ目の前に的があるはずだ。

呼吸を整える。

心の中で、タイミングをとる。

ひとつ。

ふたつ。

みっつ!!

「そこぉっ!!」

舞は水鉄砲を構えたまま、マシンの中で振り向く。

だが、振り向いた瞬間、秋子さんのマシンは舞の視界から消えた。

いや、舞が振り向く前から、秋子さんのマシンは移動を開始していた。

「何故?」

いつの間にか、秋子さんが舞のマシンの前に回りこむ。

「それは、私がニュータイプだからです」

秋子さんの手には、名雪達の持っている水鉄砲の10倍程の口径を持った銃が握られていた。

しかも、そのタンクには、オレンジ色の液体が揺れていた。

「一分経ったので、私も攻撃させていただきます」

秋子さんが引き金を引く。

どがばばばばばばばばっ

ものすごい勢いで噴き出すオレンジ色の液体。

「うわわわわわっ!!」

舞はマシンごとどこかに流されていった。

「って、的は?」

「言い忘れましたけど、場外ももちろん失格です」

「お母さん、言い忘れ多すぎ!」

「了承」

「自分で自分を了承してもダメだお〜」



舞、脱落

 「避けることの大切さ・・・」





「とうとう、名雪だけになりましたね。けど、名雪ならここまで来ると信じてましたよ」

「お母さんだからって、手加減しないんだお!」

「私も全身全霊を持って、名雪を倒させて頂きます」

秋子さんが、例のジャム砲(名雪が今命名した)を構える。

「って、いきなりそれは卑怯だおぉぉぉぉ!!」

「フィナーレです」

秋子さんが引き金を引く。

カチ

「あら?」

カチッカチッ

「燃料ぎれかしら?」

「チャンスだぉ!」

名雪が水鉄砲を構える。

「フィニッシュだお!」

カチッ

カチカチッ

「壊れた〜!?」

秋子さんの方を見る。

秋子さんは、どこからか予備のビンを取り出し、燃料を補給しようとしていた。

「いちかばちかだお!」

名雪が手に持っていた水鉄砲を投げる。

それは、まっずぐ秋子さんの乗るマシンへと飛んで行く。

秋子さんは燃料を入れ替えようとしているので、それに気がついていない。

カンッ

名雪の投げた水鉄砲は、見事に秋子さんのマシンの的に当たった。

ガシュウゥゥゥゥゥ

突如、秋子さんのマシンが白い煙をあげてその動きを止める。

マシンから秋子さんが降りてきた。

「よくやりました。名雪。あなたの勝ちです」

「私の優勝?」

名雪もマシンを降りる。

「そうですよ」

「じゃぁ、祐一は・・・」

「名雪が一日自由にしていいです。祐一さんは、あそこの階段を上がった所にいます」

秋子さんが階段を指差した。

「行きなさい、名雪」

秋子さんがニッコリと微笑んだ。





「祐一!祐一!祐一!祐一!」

名雪は天守閣へと続く階段を駆け上がった。

そして、天守閣へ飛び込む。

「祐一!」

暗い天守閣の一角。

そこには、祐一が椅子に縛られて座っていた。

「祐一!」

名雪は祐一に飛びつく。

「今日一日、祐一は私の自由なんだお!」

名雪は嬉しそうに祐一に抱きついた。

だが、そこで違和感を覚える。

「祐一?」

いったん祐一から離れる名雪。

良く見ると、それは祐一に良く似た人形だった。

「え?」

名雪が一瞬戸惑う。

次の瞬間。

祐一人形が白い煙をはきながら、縮んでいった。

そして、煙に覆われて天守閣が真っ白になる。

暫くして、煙が晴れると、上から一枚の紙切れがふってきた。

名雪がそれを手に取る。

そこには、次のように書かれていた。



『相沢祐一さんは預かりました。

 返して欲しければ、風雲秋子城へ奪還しにきなさい。

                      怪盗 謎ジャム』



名雪はその紙切れを握りつぶす。

「怪盗謎ジャム!その挑戦を受けるだお!!」





新たに現れた、謎の人物、怪盗謎ジャム。

果たして、名雪は祐一を取り返すことができるのか?



 次回、「秋子の挑戦状」に・・・・・・・・・









続かない!!



 (完)






矢蘇部「なんか、とんでもないものを書いてしまった気がする」

あかり「アホね・・・」

矢蘇部「なんてったって、『風雲た○し城』って懐かしいな〜ってだけで書き始めたからな」

あかり「なんか、最後の方、話変ってるし・・・」

矢蘇部「いいんだ。アホSSなんだし」

あかり「サブキャラとオネキャラの扱いが酷いし・・・」

矢蘇部「まぁ、なんだな。これも運命だと思って・・・」

栞   「どうして、私はイキナリ出番がなくなったんですか?」

矢蘇部「うおっ、栞!どっからわいて来たんだ?」

栞   「どこからでもいいです。なんで、私だけあんなにあっさり脱落したんですか?」

矢蘇部「そんなん、ネタがなかったからに決まってるだろ」

栞   「そんなこと言う人嫌いです。サクッ」

矢蘇部「ぐふっ!!」

あかり「作者が倒れました。と言うわけで、次回から私がこのHPを支配します」

矢蘇部「待て、あかり・・・最後に一言いわせてくれ・・・」

あかり「あ、生きてた」

矢蘇部「あのツボは、良いモノだぁぁぁぁぁぁぁ!」

あかり「永遠に死んでろ!!」




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