素敵な夢を見た
別世界への旅立ち
天使のように空に遊ぶ
Wow Wow Wow
探偵水瀬名雪
天使の歌声
sing a song
#5「屈折、そして集約」
「だぁぁぁぁぁっ!いったい何を考えてるんだぁぁぁぁぁっ!」
祐一が叫んだ。
その気持ち、わかるような気がする。
「これで4件目だぞっ!しかも、五日間で4件!こっちの身にもなってみろってんだぁ!」
祐一は壊れた瓦礫を蹴飛ばしたあと、つま先を抑えながらそこらを跳ねまわった。
帝都中央図書館がSマシーンに襲われたのが4日前の8月26日。
犯人――たぶん怪盗貴族さんは、いったい何のために図書館なんて襲ったのかな〜とか考えてたら、その次の日の27日、今度は北部図書館が襲撃された。
まさか2日連続でやってくるとは思ってなかったので、私たちはびっくり仰天。
それで慌てて、図書館にしばらく休館するよう連絡をいれたら、案の定、29、30日、つまり昨日今日と、立て続けに図書館が襲われたんだよね。
昨日襲われたのが吉祥図書館。それで今日襲われたのが、旧中央図書館。
おまけに今日は、私たちが駆けつけたとき、まだSマシーンが図書館にいたんだよ。
けどね、まんまと逃げられちゃった。
だって、Sマシーンだよ。鋼鉄のロボットだよ。
普通の人間じゃ太刀打ちできないよ〜。
「北川いるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
祐一が北川君ちのドアをガンガンガンガン叩く。
うう、なんか背後に幽霊みたいのが見える気がするよ……。
「だ、誰……?」
ドアの向こうから女の子の怯えた声が聞こえた。
「俺だぁ!祐一だぁっ!さっさと出て来い北川っ!」
「え、祐一?」
ドアが少し開かれる。その細い隙間から、北川君ちで働いてる女の子――沢渡真琴ちゃんが顔を覗かせた。
「真琴ぉぉぉっ!北川を呼べ!今すぐ呼べ!マッハオラで呼べぇぇぇぇぇぇ!」
祐一がドアの隙間に顔を突っ込む。
「あうぅぅぅぅぅっっっっ!」
真琴ちゃんが驚きのあまり腰を抜かした。
「ダメだよ、祐一。真琴ちゃんが怖がってるよ」
「WRYYYYYYYYYYY」
うーにゅ。祐一が荒れてるよ〜。
波紋でも流せば落ち着くかな?
「おまえら、昼間っから人んちの玄関で何をやってるんだ?」
頭上から声が聞こえた。
見上げると、北川君が玄関の2階の窓から顔を出していた。
「やあ、水瀬」
「北川君、おじゃましに来たよ〜」
「相変わらずお前ら二人なのか。川澄さんはどうしたんだ?」
「舞さんはね、ここのところずっと佐裕理さんのガードをしてるの」
「なるほどねぇ」
北川君が身を乗り出すようにして私たちを眺める。
「きたがわぁぁぁぁぁぁっ!」
祐一が窓を見上げながら大声で叫んだ。
「なんだ、相沢。叫ばなくったって聞こえるぞ」
「Sマシーンを貸せぇ!凶悪な奴をだっ!他のSマシーンを一瞬で破壊できるような無駄無駄WRYYYYなマシーンを貸しやがれぇっ!」
声の限りに叫ぶ祐一。その姿を北川君が複雑な表情で見つめた。
「なぁ、水瀬。相沢どうしたんだ?」
「ちょっとね、いろいろあって荒れてるんだよ」
「まぁ、とりあえず家に上がれよ」
そういって北川君が、私たちに向かって手招きをした。
「はーん、それで相沢は荒れてるのか」
私の話を聴いた北川君は、開口一番そういった。
「俺は荒れてなんてないぞ」
祐一がかみつくようにいう。
「あう……、祐一が怖い……」
真琴ちゃんが私の背後に身を隠した。
「で、俺のSマシーンを貸してくれってか?」
北川君が椅子に持たれかかりながらいう。
「そうだ。それであの空飛ぶ白色ロボット三等兵を打ち落としてやるんだ!」
祐一は握りこぶしを振りまわしながら、応接間の中をうろうろと歩き回った。
よっぽど目の前で飛んで逃げられたのがくやしかったんだね。
そうそう、飛ぶといえば――。
「ねぇ、北川君――」
私は、かねてより疑問に思ってたことを北川君に訊いてみることにした。
「――Sマシーンって飛べるの?」
これ。
私がずっと思ってた疑問。
だって、あんなに大きな鉄の塊だよ。さすがに飛ぶのは無理だと思うんだよね。
だからいつかみたいに、風船とかじゃないかと私は思ってるんだけど……。
「飛べるぞ」
北川君の返答は、私の予想に反するものだった。
「え?飛べるの?」
「だって、おまえら目の前で飛ぶのを見たんだろ」
「けど、それはSマシーンじゃなくて、もっと他のものかもしれないって思ってたんだ。それに、今までSマシーンが空飛ぶなんて話聴いたことなかったし……」
「まぁ、知らないのも無理もないか。新作モデルが発表されたのが、ついこの間だからな」
「この間?」
「7月のS博――例の、怪盗貴族が目をつけたっていうSマシーン展、あんときにさ、飛行型モデルってのがはじめて発表されたんだ。S博のテーマが<飛行>と<有人>でさ、それ関係のSマシーンが展示されたんだよ」
「ふ〜ん。Sマシーンが空飛べるようになったんだ〜」
北川君の話を聴いて、私は素直に感心した。
空飛ぶロボットか〜。
なんか、人類の進歩って感じだね。
そのうち宇宙にも行けるようになるのかな?
「それにしても、空飛ぶSマシーンで来たってのはすごいな」
北川君がいった。
「そうだよね。空飛んじゃうんだもんね。すごいよね」
「いや、それもそうだけどさ。そうじゃなくって、飛行タイプのSマシーンを持ってるってことがすごいと思ったんだ」
「それって、やっぱり高いの?」
「高いと思うぞ。たぶん」
「たぶん?」
「まだ発売されてないからな」
「へ〜、そうなんだ」
けど、発売されても私なんかじゃ買えないんだろうな〜。
「おい、北川」
祐一が北川君に声をかけた。
「飛行タイプはまだ発売されてないのか?」
「ああ、そうだ」
「それじゃあ、図書館を襲った犯人は、どうやってそれを手に入れたんだ?」
わっ!そうだよ。祐一のいうとおりだよ。
まだ売ってもいないものをどうやって?
「どっかの企業に作ってもらったんだろ?」
北川君が簡単にいった。
「作ってくれるの?」
「金さえあればな」
うにゅ……。なんか嫌な響き。
「大手の企業、クラタとか久瀬とかなら作ってくれるだろ」
「そんな簡単にか?」
「うちのRX−78号だって特注品だぜ」
そういって北川君が胸を張る。
「なぁ、北川。企業に問い合わせれば、そういう特注品を作ったかどうか教えてくれるかな?」
祐一が訊く。
「そういうのって、たぶん企業秘密だからなあ。ちょっと無理なんじゃないか?」
「そっか」
「それにさ、もし犯人がどっかの企業とつながってたりしたら、試作品あたりをまわしてもらってるかもしれない。そうなると、その横流ししてる奴の他は知らないことかもしれないぞ」
「うーん……」
祐一がぐるんと首を一回転させる。
「今、話を聴いててさ、一瞬Sマシーンの入手経路から犯人の尻尾をつかめるかなって思ったんだが、どうもそれは無理そうだな」
祐一がため息をつく。
「そうだね〜」
私も祐一と一緒にため息をつく。
そんな私たちを見ながら、北川君がいった。
「相沢、おまえに落胆は似合わんぞ」
「ほっとけ」
「そうよ、くら〜い祐一はおもしろくないわ」
真琴ちゃんも祐一に向かっていう。
「おもしろくないって、真琴……」
「ここ来たときみたいに元気に行けばいいじゃん」
真琴ちゃんが祐一の肩をぽんっと叩いた。
祐一は真琴ちゃんと北川君の顔をゆっくりと見たあと、目をすっと閉じ、両の手のひらで自分の顔をぱんっと叩いた。
「そうだな…。そうだよな、真琴。頭使ってどーのーこーのってのは俺らしくないっ!体力で勝負、それこそが俺の取得だよな!現場でとっつかまえれば、どこでSマシーン作ろうが、何を企んでいようが関係ないじゃないかっ!よーっし、燃えて来たぞっ!バーニングッ!」
祐一の背後にメラメラと炎が燃える。
「さぁ、来るなら来いっ!俺は負けないぞっ!」
祐一が握りこぶしを振り上げた。
「けどさ、祐一」
「なんだ、名雪?」
「その白いロボットは、次はどこに来るのかな?」
私の言葉を聴いた祐一は、その動きをピタッと止めた。
「次にどこに来るのかぁ?」
祐一が頭を抱えた。
「だって、まだ襲われてない図書館はいっぱいあるんだよ。境図書館、鷹三図書館、布調図書館、井の頭分館、武蔵分館、矢雲分館……」
「ヤマを張るには多すぎるなぁ……」
「どこに来るのかわからないんじゃ、現場で捕まえるなんてとても無理だよ」
「ぐ、ぐそ〜」
祐一が頭をかきむしる。
「やっぱ、頭を使わなきゃだめか。えーと、えーと……。何か法則はないのか?こう、北から順に襲ってるとか?」
「一番始めに襲われたのは中央図書館だよ」
「なら、中心に近い順だ」
「中央図書館に一番近いのは、今日の午前中に襲われた旧中央図書館だよ」
「ぐっ……!ま、まてよ。やつは今日、もう図書館として機能していない旧中央図書館にやってきたんだよな。なんでだ?あそこに何かがあるのか?」
「旧中央は、この街の昔の資料があるだけだよ。今日、一緒に調べたじゃん」
「そうか。そうだったよな……」
祐一が口をへの字に曲げる。
「ねぇ、祐一」
真琴ちゃんが祐一に話しかけた。
「その白いロボットは、いったい何を盗んでるの?」
「ん?ぬすんでるものか?まだ詳しくは調べてないんだが……」
祐一が懐から手帳を取り出す。
「えっと、はじめの中央図書館のときは、金庫と帝都人物名鑑、帝都事件簿、あとは帝都内の研究所施設についての資料だな。他の図書館のときもだいたい同じだ。それで、今日の旧図書館では――。金庫と砂糖蒸気の研究資料だ」
「金庫?それってあの大事なものをしまったりする?」
「他にどんな金庫がある」
「ねぇねぇ、その金庫の中身が怪しいんじゃない?」
「ああ、俺もそう思ったのだが、どこの図書館も中身のことを教えてくれないんだよ」
「それって、警察が嫌われてるから?」
「いや、それは違うだろう。俺は、帝都で一番の探偵と一緒にいたんだ。それなのに教えてくれないんだからな。なんか、こう、若い人間には教えてはいけないって雰囲気だったが……」
そうなんだよね。
みんな金庫の話になると口を閉ざしちゃうんだよね。
あの、中央図書館の土橋さんがいってた『7年前の事件』に何か関係があるのかな?
けど私は7年前の記憶がないからよくわからないんだよね。
そうだ。北川君と真琴ちゃんにも訊いてみよう。
「ねぇ、7年前の事件って知ってる?」
「7年前の事件?」
「うん。中央図書館でね、金庫の中身が7年前の事件に関係するものじゃないか、みたいなことをちょこっといってたんだ」
「ああ、そういえば、あの管理人みたいな人がいってたっけ。確か、土井?いや、ど、ど……」
「土橋さん」
「そうそう、その土橋さんがいってたな。真琴、北川。何か知らないか?」
「あう……。ごめんね、名雪さん。真琴は、7年前の記憶はないから……」
「7年前――か。そういやぁ、事件みたいのがあったな」
北川君が腕を組みながらいった。
「確か、四季研で何かあったと思う」
「四季研?それって、その、蒸気エンジンの?」
「ああ、そうだ。TVでやってた気がする。そう、警官隊が突撃するとかなんとかって……。水瀬は覚えてないのか?」
北川君が不思議そうな顔で私の顔を見る。
「実はね、北川君。私も7年前の記憶がないんだ」
私は顔の前で手を組みながら言った。すると、私の隣で祐一が驚きの声をあげた。
「え、名雪もなのか……」
「ゆういち?」
祐一が照れくさそうに首の後ろをなでる。
「いや、実は、俺もな……」
バツの悪そうな顔で祐一がそういった。
私は祐一と顔を見合わせる。
そしてお互い、なんとなくくすくすっと笑い出した。
「おいおい、なんだおまえら。そろいもそろって健忘症か?」
北川君が私、祐一、真琴ちゃんの顔を順に見つめる。
「おまえら、本当に覚えてないのか?」
「うっさいなぁ。俺だってどうして覚えてないのかわからないんだ」
祐一が口を尖らせながらいう。
「それより、北川。その7年前の事件って――」
「いや、それがな、子供のときのことだからよくは覚えてないんだ。確か、7年前、四季研に誰かが立てこもったんだと思ったが……。けど、それが誰だったのかとか、どうして立てこもったのかとかはちょっと……」
北川君がすまなそうに首の後ろをなでる。
「そういえば、あれっきりあの事件のことが話題になることってないな。というか、どうもあの当時から、事件に触れちゃいけないような雰囲気があったな」
「なんか怪しいな、その事件。怪盗貴族はその事件に関係してたのかな?うん、調べてみる価値はありそうだ」
そういって祐一は手帳に何かを書き込んだ。
「で、何の話をしてたんだっけ?」
祐一が帳面から顔をあげていった。
「次にどこの図書館が狙われるかって話だよ、祐一」
私の言葉を聴いて、祐一がそうかそうだったと笑う。
も〜、本当に忘れっぽいんだから。
「そういえば、そういう話だったな。えっと、それで……。結局どこの図書館が襲われるんだ?」
「さぁ……」
そんな、祐一にわからないものが私にわかるわけないよ。
「う〜ん」
「う〜みゅ」
私と祐一は二人して首をひねる。
「ねぇねぇ、真琴一つ思いついたんだけど」
真琴ちゃんが人差し指を立てながらいった。
「その白いロボットは、7年前の事件に関係してそうな金庫を取っていくんだよね」
「そうだな。まぁ、あくまで推測ではあるが……」
「それならさ、その金庫がある図書館が狙われるんじゃない」
「それは俺も考えた。だから図書館関係者に他に金庫がないか聴いてみたんだが――。教えてくれないんだ、これが」
そういって祐一が首を横に振る。
「金庫の中身は7年前のものなんでしょ。そういうものって、やっぱり古い図書館にしかないんじゃないの?例えば、7年前からあった図書館にしかないとか――」
真琴ちゃんの言葉を聴いた祐一は、立ち上がってぽんと手を叩いた。そして真琴ちゃんを抱き寄せて、その頭をなでなでする。
「するどいっ!真琴、本当におまえはするどいっ!」
「あう〜」
顔を赤くする真琴ちゃん。
いいな〜。
「そうだよな。わざわざ運んだりしない限り、古い資料は古い図書館にあるよな。よし、そっちから探ってみよう。えっと、名雪、襲われてない図書館はどこだっけ?」
祐一の問いに、私は素早く答える。
「境図書館、鷹三図書館、布調図書館、井の頭分館、武蔵分館、矢雲分館、あと南分館だよ」
「そん中から、7年前にあったやつだけピックアップしていくぞ。まずはっと――」
こうして私たちは、図書館がいつごろできたかを検討しはじめた。
7年より前にその図書館があったかどうかは、新しく開館したって話を、私や祐一が聴いたことあるかどうかで判断した。
だって、私たちは7年前以前の記憶がないから、新築したってことを私たちが知っている図書館は、少なくともここ7年以内にできた図書館ってことになるでしょ。
北川君や真琴ちゃんにも手伝ってもらって作業を進める。
その結果、残っている図書館はみんな新しいものだということがわかった。
「うーん……」
祐一が首をひねる。
「井の頭分館ができたのが事件があったころで、他はそれより新しいのか……」
「次に襲われるのは井の頭分館かな?」
「それはどうかな?」
私の言葉を受けて、北川君がいった。
「井の頭ができたのは7年前だが、事件の1ヶ月ぐらいあとだ。だから、そこに例の金庫があるかどうかは微妙だぞ」
井の頭分館については、知っているのは北川君だけなんだ。どうやらできたのは、ギリギリ事件の後みたい。
「けど、他の図書館はみんなここ2、3年の間にできたものばかりなんだよな――」
祐一があごに手をやる。
「――そうなると、やっぱり怪しいのは井の頭分館じゃないかな」
祐一の言葉に、一同が軽くうなずいた。
「よし、それじゃあ明日は井の頭分館に警備の重点をおくことにしよう。北川、Sマシーンを分館の方へ移動させる準備をしといてくれ」
「ちょっとまった、相沢――」
北川君が手を広げて待ったをかける。
「ん?北川、何か問題でもあるのか?」
「分館に輸送するんでいいのか?」
「あ、そうか。直接に図書館に配置してたら、奴が警戒して来ないかもしれないな。それなら、どこか近くの公園あたりに待機させて――」
「いや、そうじゃなくってさ、明日だろ」
「何が?」
「佐祐理さんのコンサート」
「あっ!」
祐一が天を仰いだ。
「そういえば、明日は31日か。佐祐理さんのコンサートの最終日だ……」
「相沢、図書館とコンサート会場、Sマシーンはどっちにまわせばいいんだ?」
「うーん。どっちだろう……」
祐一が腕組をする。
「なぁ、名雪はどう思う?」
「そうだね――」
私はちょっと考える。
「――えっと、明日のコンサートは警察公園でやるんだよね」
「そうだ。うちの目の前の公園の、あの石造りの舞台みたいなところ。あそこでやるんだ」
「井の頭分館とは反対方向だね」
「そうなるな」
「今のところ、図書館が襲われてるのは、みんな午前中だよね」
そう。Sマシーンが図書館を襲うのは、だいたい午前九時三十分頃なんだ。
ちょうど、通学や通勤が終わる時刻。もっとも、今は夏休みだから学校は休みだろうけど。
たぶん犯人さんは、目撃されないように、そういった人の沢山いる時間を避けているんじゃないかな。
九時過ぎ十時前って、意外に外に人のいない時間帯なんだよね。
「今日の佐祐理さんのコンサートは6時から。だから、午前中から夕方までは井の頭分館を、夜はコンサート会場を警備すればいいんじゃないかな?」
「そうだな。うん。その通りだな」
祐一は2、3度頷いた後、北川君の方へ顔を向けた。
「というわけだ、北川。それで頼む」
「ああ、わかった」
北川君がうなずく。
この二人、これだけで通じ会える仲なんだよね。ちょっとうらやましいかな。
「それじゃあ、また明日な」
「おう」
「またね、北川君、真琴ちゃん」
「ばいば〜い」
私たちは北川君と真琴ちゃんに挨拶をして、北川君の家を後にした。
(続く)
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